「夫婦の財産は共有だから、どちらの名義でも問題ない」
このように考えている方は非常に多いのですが、
相続税の世界ではこの認識は通用しません。
相続税の申告では「誰の財産なのか」
を厳密に区分して整理する必要があります。

■ 意外と多い”夫婦間の資金移動”
今回ご依頼いただいた方も、典型的なケースでした。
ご主人の給与口座から、毎月数十万円を
「生活費」として奥様の口座へ振り込んでいる状況です。
このような資金移動自体は、
生活費として通常必要な範囲であれば問題ありません。

■ 問題になるのは“使い切らなかったお金”
注意が必要なのはここです。
生活費として渡されたお金でも、
使い切らずに奥様の口座に蓄積されていった場合、
その預金は形式的には奥様名義でも、実質的には
「ご主人の給与の余剰資金」と判断されることがよくあります。
つまり相続税上は「ご主人の財産」として扱われることになります。
いわゆる「ヘソクリ口座」と呼ばれる状態です。

 

 

 

■ 税務署はここを必ず見ています
このようなケースでは、税務署は次の点を重点的に確認します。

・ご主人から奥様への資金移動の履歴
・生活費としての妥当性
・奥様の口座残高の増加状況
・奥様自身の収入とのバランス

そのため「名義が奥様だから安心」では全くありません。

■ 実務上の対応
今回のようなケースでは、

・ご主人から移動した資金の累計
・奥様が元々保有していた固有財産

を明確に区分し、実質的に誰の財産かを整理したうえで
申告を行います。

 

 

 

 

■早い段階で整理を
夫婦間のお金のやり取りは日常的なものですが、
相続税の場面ではそのままでは通用しません。

・ 生活費の範囲を超えて蓄積された資金
・名義と実態が一致していない預金

これらはすべて
相続税の課税対象として修正される可能性があります。
「夫婦だから大丈夫」などと思っていると、
申告時に大きな修正が必要になることもあります。
早い段階で一度整理しておくことをおすすめします。