(以下、1月14日日経新聞より)

 政府・与党は孫への財産の贈与について、2500万円までを非課税にする制度の対象にする方針を固めた。これまでは子への贈与が対象だったが、孫まで広げて若年層へ資産移転を促す。制度を利用できる贈与側の人の年齢も従来の65歳以上から60歳以上に下げる。高齢者が持つ「眠れる資産」を有効に活用できる仕組みを整え、日本経済の再生につなげる。

 政府・与党は2014年4月の消費増税を控え、格差是正の観点から富裕層への相続税の強化と、贈与税の見直しを検討している。孫への贈与を多く非課税にする仕組みは相続・贈与税改革の柱の一つに位置付ける。

 政府は11日に閣議決定した緊急経済対策に、祖父母から孫への教育資金について贈与税を非課税にする制度を設ける方針を盛り込んだ。上限1500万円をめどに非課税とする方向で13年度税制改正での実現を目指す。これに加えて、贈与税にかかわる「相続時精算課税制度」と呼ぶ仕組みを見直す。

 贈与税は個人から財産をもらった時にかかる。しかし、相続税とは税率が異なるため、生前贈与の贈与税は相続時の相続税よりも高くなることが多い。弊害を改めるため、贈与税の額を相続税から差し引く仕組みとして03年に導入された。

 現在はこの制度を利用すれば、子への贈与については1人あたり2500万円までが非課税となる。この対象に孫を加える。20歳以上の子と孫が恩恵を受けられるようになる。

 贈与する側の要件も緩和する。現在は65歳以上となっているが、60歳以上に下げる方針だ。

 20歳以上の子や孫への贈与は税率も下げる方針。課税対象となる財産のうち600万円超~1000万円に30%、1000万円超~1500万円を40%などとする。現在は600万円超~1000万円で40%などとしており、減税となる。一連の見直しは15年1月から実施する方向だ。

 贈与税の見直しは消費増税を巡る社会保障と税の一体改革の中で議論されてきた。消費増税は生活に欠かせない食料品などへの消費が多い低所得層の負担感が大きいとされる。格差を是正する観点で、政府・与党は所得税の最高税率は45%に上げ、相続税も最高税率を55%に上げる方向で調整している。

 ただ、家計が持つ約1500兆円の金融資産のうち、6割は高齢者が持つ。政府・与党には贈与を促して眠る資産を動かさなければ、個人消費を通じた経済の活性化につながらないとの見方が多い。