平成25年度の税制改正により、相続税増税は決定的としなりました。

今まで以上に相続対策の必要性が問われるところです。

相続対策はまず財産を把握して相続税の試算をすることから始めます。

(以下、2月20日日経新聞紙面より抜粋)

「昨年7月に亡くなった父親の遺産総額が基礎控除額の7000万円以内に収まってよかった」。東京都世田谷区に住む会社員、池田武さん(仮名、53)はほっと胸をなでおろす。相続人は池田さんと弟の2人。二世帯住宅や賃貸住宅、ゴルフ会員権など遺産総額はかろうじて7000万円を下回った。「長生きしてほしかったけど、亡くなるのが税制改正後なら相続税が発生していた」(池田さん)

■「富裕層だけ」は昔

 相続税について大きな変更点は基礎控除の見直しだ。相続税は遺産から非課税枠である基礎控除を引いた課税資産に対してかかる。この基礎控除額が、現行の「5000万円+法定相続人1人当たり1000万円」から、15年1月以降「3000万円+法定相続人1人当たり600万円」に4割縮小される(図A)。

 池田さんの場合は相続人が2人だから、現在の税制なら相続財産が7000万円以上ないと相続税は発生しない。しかし、改正後は4200万円以上あれば課税される。

 相続税の税率も一部変更される。最高税率(課税対象となる遺産が6億円を超える場合)は現行の50%から55%に上がる(表B)。

 改正により相続税の課税割合(死亡者に対する課税件数)は約4%(11年)から6%に増える見通しだ。東京国税局管内に限れば11年の課税割合は約7%。不動産コンサルタントの長嶋修氏は「都心での地価の底入れを考慮すると、改正後は課税割合が20~30%に膨らむことも考えられる。富裕層だけが相続税の対策をすればいいという時代は終わった」と指摘する。

 どんな準備をすればいいのか。税理士の今村仁氏は「財産の一覧表を作成し、相続税がどのくらいかかりそうなのか、まず試算することが重要」と訴える。

 税理士の柴原一氏によると、相続人が配偶者と子供2人のケースでは、遺産が4800万円を超えると相続税が発生する。もっとも、配偶者に認められている軽減措置を利用すれば1億6000万円を上回った場合からになる。

 ただ、「多くの人にとって相続税が大きな問題になるのは、残された配偶者が亡くなって子供が引き継ぐ『二次相続』の時」(柴原氏)。両親が既になく子供2人が相続する場合、現行の税制では遺産が7000万円を超えたときに課税されていたのが、改正後は4200万円からに下がる。どれぐらいかかるか試算例を表Cに示した。

■宅地特例は緩和

 もちろん一括で納められる預貯金など金融資産があれば問題ない。難しい場合は被相続人が生命保険などで用意するか、相続人が実家を売却するなど納税資金を捻出しなければならない。

 相続税は基本的に増税の方向だが、細かい点では軽減策も盛り込まれた。

 その一つが「小規模宅地の特例」の見直し(図D)。原則として親と同居していることを条件に、親が住んでいた宅地の評価額を、相続時に最大8割減らせる制度だ。改正により15年1月以降、対象面積が現行の240平方メートルから330平方メートルに広がる。

 14年1月から先行的に緩和されるものもある。一つが二世帯住宅の適用要件だ。

 「二世帯住宅を建てる計画を進められる」。京都市の鈴木宏さん(仮名、48)は喜ぶ。母親が病気のため、父親は自分が亡くなったときに鈴木さんに自宅と敷地を相続させるつもりでいる。大綱発表前は税理士に「子供だけの相続では二世帯住宅でも小規模宅地の特例を受けるのは難しい場合もある」と言われて悩んでいた。

 二世帯住宅について現在は「親子の居住スペースが完全に仕切られ、生計が別の場合は子供の相続分に特例を適用できない」と決められている。来年以降は構造に関係なく子供に認められるなど、条件が大幅に緩和される。

 もう一つ、親が終身利用型の老人ホームに入った場合も14年1月以降、小規模宅地の特例を適用できるようになる。従来は親が終身型の老人ホームに入るとそこが自宅とされ、残した家に特例を使えず、納税に苦労する人が多かった。改正により、親が介護を目的に終身型老人ホームに入所し、家屋を貸し付けていないことを条件に特例を適用できるようになる。

 税理士の森田義男氏は、父親が終身型老人ホームで亡くなって多額の相続税を求められた顧客とともに、国を提訴した。裁判は11年8月に敗訴で終わった。森田氏は「納税者の不満の声が全国に伝わり改正の一因になった」と見る。終身型の老人ホームに入居する高齢者は多く、メリットを受ける人が増えそうだ。

 二世帯住宅や老人ホームの扱いなど条件が緩和されるものもあるが、基本的に基礎控除の縮小により相続税の課税対象者が増えるのは間違いない。生前贈与を活用するなど早めの準備が今まで以上に大切になる。